ウイングフィールド若手劇団応援シリーズ 
特別編「ウイングカップ2010」
開催期間
2010年9月〜2011年1月






最優秀賞 ともにょ企画「レイク横」

・最優秀賞 ・トロフィーの授与
・次回公演をウイングフィールド提携公演とする
・ウイングフィールド公演の1年間フリーパス権進呈
・新米10kg進呈

優秀賞トイ・ガーデン「ユビュ王」

・優秀賞 ・盾の授与
・次回公演をウイングフィールド協力公演とする
・ウイングフィールド公演の1年間フリーパス権進呈
・新米5kg進呈


審査員個人賞および講評はこちら

審査員講評

◎ともにょ企画『レイク横』

◆福本年雄
役者も演出も、ちょっとできすぎているかなあと思った。若干、あの年にしては。狙いすぎ、と思ったけれど。役者も、ダラーッとした今どきな風を作り込み過ぎてはいるけれど、一番、安定している。
でも、オリジナルの作品であることを評価したい。初めて観たが、ともにょ企画は印象的だった。可能性として、新しい時代を作れる。

◆広瀬泰弘
話が、面白い。どんどん、こちらの想像をはるかに超えるところでドラマが展開していく。しかもそれで、ガンガンテンションが上がるのではなく、下がっていくし、ぐーっと下がるのにあれあれって思うところでドラマを作っていけるのがすごいなあ、と。
発想が普通じゃない。どう考えたってあの現金輸送車の話にいかなあかんのに、それがどうでもよくなるっていうのは、そんなことないやろ、って思う、そういうことを平気でやっていけるし、最後の選挙の話とかなってきた時にええっ、と思う。
どこまでも横滑りしていって、加速度ついていくんじゃなくて横に滑っていく感じが僕は面白かった。

◆塚本修
安定した台詞運びと、良くできている脚本を評価する。
以前からともにょ企画を観ているが、全部テイストが違うのが凄い。
クロムモリブデンのようだったり、柿喰う客のようだったりして、ここでやった『レイク横』はナイロン100℃のような感触だった。
特に抑揚のない、淡々とした雰囲気で進行し、凄いことが起こっているのに、登場人物が何事もなかったかのように、平然と日常を過ごしていく怖さ。
それがかなり面白い。

◆松岡永子
アクティングエリアを舞台よりちょっと小さくとり、舞台上に出て「演じていない役者」として1、2歩歩いてから演技に入るなど、非常に意識的な演出で、舞台を作っているという意識が一番高かった。

◆土橋淳志
今、その意義が問われつつあるシュチエーション演劇でありながら見る者を惹きつけてやまない不思議な作品。巧みな構成で先の読めない展開、皮肉のこもった笑い、演技についてさり気なく考察した演出。湖畔ときてチェーホフへの目配せも忘れない。奇をてらっているわけでもないが、ありきたりでもない演劇。そんなギリギリの場所に『レイク横』は存在していた。

◎トイガーデン『ユビュ王 ※「ユビュ王」にちょっと詳しくなれる説明つき』

◆福本年雄
ウイングカップの「可能性」を考えさせられた。
安武さんも色んな意味で苦戦してこの『ユビュ王』に戻ってきた。『ユビュ王』を広げた・広めたということが、面白いなあ、と。
ただ、次にどういう展開をするのかということが、怖い反面楽しみ。

◆広瀬泰弘
この『ユビュ王』がトイガーデンの中で特別に良いとは思わない。でも、色んなことをやってまた『ユビュ王』に戻ってきているけれども、「だからどうなんだよー」という風には思わない。
僕はニコニコ動画のことは分からないので、全くそういうのは抜きにして観なければいけない。でも、安武さんのバカバカしさは、僕は好きだ。

◆塚本修
二重舞台の前にパソコンが置いてあり、パソコンより奥はパソコンの中の世界ですよと言う提示がまずある。
構成はニコニコ動画ほぼそのままであり、「ニコニコ動画」の舞台化と言っても過言ではない。
『ユビュ王』を題材に、二重舞台上で『ユビュ王』がダイジェストで行われ、更にそれを舞台上の役者がネット上の住人よろしく書き込みを加えるがごとく台詞を連呼したり、下品で低俗な部分をより誇張させている。
その辺りに気付くとかなり面白いのだが、ニコニコ動画を知らない人にはこの構成がパロディであることに気付けず、更には『ユビュ王』自体の認知度が低いので、パロディとしても面白さに欠ける。
よしんば気付いたとしても、それが面白いかと言うと、やはり楽しめる人と楽しめな い人がいて、評価がきっぱり別れると思った。

◆松岡永子
最初の詳しくなれる解説と、一応本編とされてるところと、最後のビデオを使う場面と、ユビュ王の3種盛りになっていた。色々な面で切ってみましたみたいな感じで並べてあって面白かった。
ただ、『ユビュ王』ならなんでもあり。『ユビュ王』を外国で上演したときには「追放だ」と言うシーンで観客をほんとに追い出したと聞いた。だから、『ユビュ王』であること、がかえってマイナスポイントかな。でも『ユビュ王』だからこそ3つやれたのかな、とも思う。


◆土橋淳志
例えば、裸になる。食べものを食い散らかす。自分たちがいかに駄目人間であるかをアピールする。昨今よく見かける、そういった下品な露悪的振る舞いを含む演劇の、その実ほとんどが二重の意味を発している。つまりこうだ、私たちは舞台上で裸になったり、食べ物を食い散らかしたり、訓練不足の見るに値しない演技を披露しておりますが、これには事情があるのです。これは、実はアートなんです。芸術なんです、と。
そういった言いわけがましい弁解ほど興ざめするものはありません。下品なフリをしているけど、本当は格好いいと思われたいだけではないかと。そんなものは卑劣な、偽物の駄目さ加減です。
それに比べ、トイガーデンの作品はどうでしょう。格好よく思われたいという形跡は微塵もありません。清々しいほどの駄目さ加減。余計な意味のない、無垢な、イノセントな品性の無さがそこにあります。
しかもそれは、演劇史を俯瞰し、今あえて『ユビュ王』というテキストを選択しうる知性を放棄しての、野蛮な振る舞いなわけです。
私はその覚悟に、戦慄するとともに、心うたれた次第です。


審査員個人賞

福本年雄 審査員個人賞 :「第2劇場わこうどの、作りこまれた舞台美術に」
舞台美術と芝居はミスマッチだった。でも、よくつくりこまれた美術は凄い。
ストーリー的にはシンプルに素舞台でやったほうがいいけれど。
あとでDVDで観なおしてストーリーがよく判った。私の観劇センスは…(笑)。

広瀬泰弘 審査員個人賞 :「カラ/フルの、オダタクミ初の作・演出に」
織田くん初の脚本・演出に賞を贈りたい。きちっとつくっている。
織田くんが今考えていることがストレートに気持ちよく伝わってくる芝居であるということ。
それから、観ていて、この暗い感じが良いと思った。

塚本修 審査員個人賞 「妄想プロデュースの、スタッフワークに」
舞台技術者のほとんどいない劇団ほどスタッフワークがお粗末であった。
地明かりがとれてない、シーリングがきたない、音響のレベルがとれてない、
フェードイン・アウトが早すぎる、キッカケのタイミングが適切でない、
そもそもキッカケの打ち合わせが為されていない、等々、舞台監督として見るに堪えない場面が多い。
そんな中で妄想プロデュースは、通常お世話になっているプロのスタッフにお願いせず、
音響も照明も若手スタッフで座組みしている。 その状況下でも通常に劣らぬスタッフワークを見せている。
演出も舞台技術者も、スタッフワークをよく心得ているし、決して疎かにせず、最善を尽くしている。
スタッフワーク賞という意味合いで、妄想プロデュースに賞を贈りたい。

松岡永子 審査員個人賞 :「カラ/フルの、美香お姉さん(三品佳代)の日常的狂気が垣間見えたシーンに」
精神病棟に隔離されるような狂気がではなく、いかにも普通の人っぽいところが、よりいっそう怖い。
声のトーンを上げたり下げたりして他人を操ろうとする。
他人を操るのはほんとうは怖いことだが、自分の周りにもこういう人はいるなあと思った。
そのシーンまでの彼女はか弱い女性だったから、これは女の人の怖さだなあと思う。

土橋淳志 審査員個人賞 :「劇団えろきゅーしょんの、夏フェスのシーンに」
夏フェスそのものを場面にした演劇を見たことがなかったので、これは珍しいなと思った。
こういうシンプルな発見も大切にしたい。
何故、今までこういった演劇に出会わなかったのか非常に考えさせられるとともに、
今後も新しい世代が舞台を新たな場所に繋いでくれるのではないかと期待してしまう。



企画主旨


 ウイングフィールド(WF)は1992年創設時から「創造翼羽ばたく戯空間」として若い演劇人の支援を行ない同時に私達スタッフもともに育って参りました。
 創設時は初代プロデューサー中島陸郎の命名で「新・劇作家シリーズ」として、また2006年からは「若手劇団応援シリーズ」として寺岡永泰を中心に継続しております。
 今もっとも感じるのは若い世代が新鮮で可能性を秘めた舞台を創っていながら、それを評価し、更なる成長をうながすシステムに欠けている今の関西小劇場界の状況です。
 もう一つは、劇団どうしの交流を深める機会と場のないことです。
 WFでは自戒も込めてこうした現状を変える試みとして「ウイングカップ2010」と銘打つ企画を今年9月から来年(2011年)1月まで実施致します。
 内容は、現在関西小劇場界の一線で活躍中の劇作家、舞台監督、劇評家と観客代表の方達にWF代表を交えたユニークな顔ぶれが参加団体を観劇して評価し、賞=ウイングカップを決定します。
 この企画が関西の演劇力の一層の充実に寄与し、若い演劇人の登竜門となることを願っています。      

2010年7月          
 ウイングフィールド 
福本年雄
寺岡永泰
 土橋淳志
はたもとようこ
原田慧
 中澤貴裕


企画内容


■開催期間 2010年9月から2011年1月
前夜祭 9月13日(月)  後夜祭 2月上旬

■参加資格 若手劇団であればどんなグループも参加可能です。(プロデュース劇団も可。)
若手劇団の定義は、基本的に自己申告。
(自分たちが、若手であると思われる劇団、グループであればどなたでも参加可能です。
ウイングフィールドスタッフが、企画主旨説明・面接にて決定させて頂きます。)

■参加条件 ・ミーティング(不定期)に参加出来ること。
・前夜祭・後夜祭(合評会)に参加出来ること。
・参加劇団の公演を観劇出来ること。(相互招待)

■ウイングフィールドよりの支援内容

1. 前夜祭・後夜祭の開催
(前夜祭は、劇団どうしや観客との交流会、後夜祭は賞の発表と複数の演劇関係と参加劇団の作品に対する意見交換の場にしたいと考えております。)

2. 稽古場の1日無料貸し出し(上限6時間)

3. ホール代の値引き支援
(上演日の1万円引き。仕込み日・公演日の平日追加は、応相談。仕込み日1日追加は1万円。上演日追加は3万円[ただし月曜日のみ夕方入り]。)

4. ウイングフィールドスタッフの稽古場訪問(アドバイスを行います)

5. ホームページにて告知


賞について

ウイングフィールドが選ばせて頂いた審査員にて協議の上、最優秀賞・優秀賞を決定します。
個人賞(審査員賞)も検討中です。


■審査委員

福本年雄(ウイングフィールド)、広瀬泰弘(劇評家)、塚本修(CQ代表・舞台監督)、松岡永子(C.C.C.)、
土橋淳志(ウイングフィールドスタッフ・劇作家・演出家) 


☆最優秀賞 ・トロフィーの授与
・次回公演をウイングフィールド提携公演とする
・ウイングフィールド公演の1年間フリーパス権進呈
・新米10kg進呈
*ウイングフィールド提携公演は、ホール代の値引き・チラシバーターの特典があります。

☆優秀賞 ・盾の授与
・次回公演をウイングフィールド協力公演とする
・ウイングフィールド公演の1年間フリーパス権進呈
・新米5kg進呈
*ウイングフィールド協力公演は、ホール代の値引き・稽古場使用無料貸し出しの特典があります。


参加団体一覧

日程(上演日/予定) 団体名
9月23日(祝) 演劇集団TSUBASA
10月4日(月)〜6日(水) トイガーデン
10月23日(土)〜24日(日) 第2劇場わこうど
11月10日(水)〜11日(木) 劇団タノシイ
11月19日(金)〜21日(日) ともにょ企画
12月4日(土)〜5日(日) 妄想プロデュース
12月22日(水)〜23日(祝) カラ/フル
1月9日(土)〜10日(日) 劇団KY
1月15日(土)〜16日(日) 劇団えろきゅーしょん
1月29日(土)〜30日(日) Fling Fish Sausage Club